2026年10月1日、天竜浜名湖鉄道の気賀駅から西気賀駅まで歩きました。
今回はその途中で確認した、3つの鋼橋を記録します。
どれも大きな橋ではありません。
しかし、約1kmほどの範囲に、
- 河川を渡る2連の鋼橋
- 草木の中に隠れた1桁の小橋梁
- 国道362号をまたぐ鋼+RCの架道橋
がまとまって残っています。
そのうち2橋では、今も鐡道省時代の銘板を確認できました。
一つは昭和13年。
もう一つは昭和11年。
小さな橋を一つずつ見ていくと、この区間にも二俣線建設当時の構造物がかなり残っていることが分かります。
3つの橋の概要
今回歩いたのは、気賀駅から西気賀駅までの区間です。
その中から、比較的近い範囲にある3つの鋼橋を取り上げます。
呉石川橋梁
下気賀橋梁(架道橋)
小森川橋梁
1つ目:呉石川橋梁

天竜浜名湖鉄道 呉石川橋梁
浜名湖近くの葭本川に架かる、橋長約30mの2連鋼桁橋。
下路式です。
橋梁の正式名称は「呉石川橋梁」で、現在の川の名前とは一致していません。
銘板が残っており、昭和13年製であることを確認できます。
2つ目:小森川の小橋梁

天竜浜名湖鉄道 小森川橋梁
小森川に架かる1桁の鋼橋です。
ただし、今回訪れた時点では橋の周囲が草木に覆われ、橋全体を確認することも難しい状態でした。
橋の存在は確認できましたが、製造年や製作会社など詳細は不明です。
3つ目:国道362号の架道橋

天竜浜名湖鉄道 下気賀橋梁(架道橋)
国道362号と天浜線が交差する場所にある架道橋です。
一見すると1桁の鋼橋ですが、実際にはその両側に短いRC橋があり、鋼橋+RCの複合構造になっています。
鋼橋部分には昭和11年の鐡道省銘板が残っています。
呉石川橋梁|葭本川に架かる昭和13年の2連鋼橋
最初の橋は、浜名湖に近い葭本川に架かる呉石川橋梁です。
橋長は約30m。
2連の鋼桁橋で、構造は下路式です。
現在の川の名前は葭本川ですが、橋梁の正式名称は「呉石川橋梁」。
橋の名前と河川名が一致していないのも少し気になるところです。
橋には古い銘板が残っています。

天竜浜名湖鉄道 呉石川橋梁
確認できた内容は、
- 鐡道省
- KS12
- 図番と思われる表記:217
- 株式会社大阪鐵工所製作
- 昭和十三年
- 材料 I・C:八幡製鉄所
- L:八幡製鉄所
- 鈑:不明
- 鋲:小倉製鋼株式会社
でした。
昭和13年は、この区間が二俣線として開業した時期です。
現在もその橋が天浜線の列車を支えています。
浜名湖の水を感じる葭本川
呉石川橋梁の下を流れる葭本川は、それほど大きな河川ではありません。

天竜浜名湖鉄道 呉石川橋梁
ただし浜名湖に近いため、水量は比較的豊かに見えました。
流れは穏やかで、場所によってはほとんど流れていないようにも感じます。
堤防には草が茂り、その緑と古い鋼橋の組み合わせも印象的でした。
橋の東側には、人が通り抜けられそうな小さな通路があります。

天竜浜名湖鉄道 呉石川橋梁
今回訪れたときは水位が高く、その通路は水没していました。
干潮時であれば通行できる可能性もありそうですが、今回は確認できていません。
水位によって風景が変わる場所でもありそうです。
小森川の小橋梁|草木に隠れた古い鋼橋
2つ目は、小森川に架かる1桁の鋼橋です。

天竜浜名湖鉄道 小森川橋梁
橋そのものは確かにあります。
しかし今回訪れた10月初めは、周囲の草木が非常に茂っていました。
橋の姿をはっきり見ることも難しく、隙間から鋼桁の一部が見える程度です。
見える範囲では、かなり古い橋のように感じます。
ただし、銘板や塗装記録などは確認できず、製造年や製作会社などの詳細は分かりませんでした。
気賀〜西気賀間にある他の橋の年代を考えると、鐡道省時代の橋である可能性も感じますが、現時点では断定できません。
冬になって草が枯れれば、もう少し橋の全体像が見えるかもしれません。
再訪して確認したい橋の一つです。
国道362号の架道橋|鋼橋+RCの複合構造
3つ目は、国道362号と天浜線が交差する場所にある架道橋です。

天竜浜名湖鉄道 下気賀橋梁
道路側から見ると、一見1桁の鋼橋に見えます。
ところが構造をよく見ると、鋼橋の両側に橋脚があり、そのさらに外側に短いRC橋が続いています。
つまり、
RC橋+鋼橋+RC橋
という複合構造です。

天竜浜名湖鉄道 下気賀橋梁
鋼橋部分には銘板が残っています。

天竜浜名湖鉄道 下気賀橋梁
確認できた内容は、
- 鐡道省
- KS12
- 図番と思われる表記:209
- 東京石川島造船所
- 昭和十一年
- 材料 I・C:八幡製鉄所
- L:八幡製鉄所、日本鋼管会社
- 以下不明
です。
昭和11年製。
呉石川橋梁の昭和13年より2年早く造られています。
近い場所にある二つの橋で製造年に差があることも興味深いところです。
主要道路との交差部分だったため、この架道橋の工事が先行した可能性も考えたくなりますが、現時点では確認できていません。
鋼橋とRCの接合部
この架道橋で特に気になったのが、鋼橋とRC部分の接合部です。
接続部分には補強が入っているように見えます。

天竜浜名湖鉄道 下気賀橋梁
鋼とコンクリートという異なる構造を組み合わせるため、単純につなぐだけではない工夫がされているのでしょう。
今回確認できた範囲では、補強の具体的な構造や役割までは分かりませんでした。
ただ、こうした細部を見ると、一見単純に見える架道橋もかなり複雑な構造をしていることが分かります。
高さ制限3.6mの国道362号
この架道橋では、もう一つ目立つものがあります。
高さ制限3.6mの表示です。

天竜浜名湖鉄道 下気賀橋梁
国道362号という比較的重要な道路ですが、橋梁部分ではかなり低い高さ制限が設定されています。
現在の大型車両を考えると、3.6mという高さは決して余裕のある数字には見えません。
この制限が、昭和初期に造られた架道橋を現在まで使い続けていることと関係している可能性も感じます。
ただし、この高さが国道として特に低い水準なのか、現在どのような車両規制が行われているのかまでは今回確認していません。
古い鉄道構造物が、現代の道路交通にも影響している例として興味深く感じました。
昭和11年と昭和13年、近い場所にある二つの橋
呉石川橋梁と国道362号の架道橋は、それほど離れていません。
しかし製造年には2年の差があります。
呉石川橋梁は昭和13年。
架道橋は昭和11年。
製作会社も、
- 大阪鐵工所
- 東京石川島造船所
と異なっています。
さらに構造も、
- 河川を渡る2連鋼橋
- 道路をまたぐ鋼+RC橋
と異なります。
近い範囲にある橋をまとめて見ることで、二俣線建設時にすべての構造物が同時に造られたわけではないことも見えてきます。
工事の進め方や地形、道路との関係によって、完成時期や構造が異なっていたのかもしれません。
このあたりは、今後資料を探してみたいところです。
天浜線沿線として見た魅力
今回の3橋は、どれも大きく目立つ構造物ではありません。
しかし、歩いて一つずつ見ていくと、それぞれに違う表情があります。
呉石川橋梁は、水の豊かな葭本川と草の堤防。
小森川の橋は、草木の中に隠れた古い鋼橋。
国道362号の架道橋は、現在の道路交通と昭和初期の鉄道橋が交差する場所。
約1kmほどの範囲に、これだけ違う橋がまとまっているのは面白いところです。
そして2橋では鐡道省の銘板が残っています。
観光地として知られているわけではありませんが、天浜線の歴史を記録するうえでは見逃したくない区間だと感じました。
撮影スポットとしての見どころ
呉石川橋梁
3橋の中では、周囲の景色と合わせて撮影しやすい場所です。

天竜浜名湖鉄道 呉石川橋梁
葭本川の水面や堤防の草を取り入れると、古い鋼橋が自然の中に溶け込む様子を撮影できます。
潮位によって水面の高さが変われば、また違う景色になりそうです。
小森川の小橋梁
今回の時期は草木が多く、撮影には向きませんでした。

天竜浜名湖鉄道 小森川橋梁
冬になって植生が少なくなれば、橋梁全体や構造を確認しやすくなる可能性があります。
国道362号の架道橋
列車写真というよりも、構造記録に向いています。

天竜浜名湖鉄道 下気賀橋梁
鋼橋、RC部、接合部、高さ制限標識、銘板など、記録しておきたい要素が多い橋です。
歩いて感じたこと
今回の3橋は、どれも規模だけを見れば小さな橋です。
それでも実際に近づいてみると、昭和11年、昭和13年という文字が残っています。
国道をまたぐ橋。
小さな川を渡る橋。
草木に隠れた橋。
形も役割も違いますが、どれも長い時間、この場所で天浜線を支えてきた構造物です。
特に、呉石川橋梁と国道362号の架道橋が近い場所にありながら、製造年や製作会社が違うことは印象に残りました。
そして、小森川の橋を十分確認できなかったのは少し心残りです。
冬になれば草木が減り、橋の姿や銘板などを確認できる可能性があります。
また季節を変えて歩いてみたい区間です。
散策時の注意点
橋梁の観察や撮影は、公道など安全に立ち入れる場所から行います。
特に呉石川橋梁周辺では、水位の変化に注意が必要です。
水没している通路などへ無理に入らず、その日の潮位や水量を優先します。
また、
- 線路・鉄道用地へ入らない
- 橋梁や銘板に触れない
- 水路や河川へ無理に降りない
- 草木の多い場所へ無理に入らない
- 国道周辺では車両に十分注意する
- 道路上で立ち止まって撮影しない
といった点にも注意します。
国道362号の架道橋周辺は交通量もあるため、橋を見上げながら歩くときには特に車へ注意が必要です。
まとめ
気賀駅から西気賀駅までの間にある、3つの鋼橋。
約1kmほどの範囲に、
- 昭和13年製の呉石川橋梁
- 詳細不明の小森川の小橋梁
- 昭和11年製の国道362号架道橋
が残っています。
呉石川橋梁の銘板には大阪鐵工所。
国道362号の架道橋には東京石川島造船所。
同じ鐡道省時代でも、製作時期も会社も異なります。
そして架道橋は、鋼橋だけではなくRC橋を組み合わせた複合構造です。
小さな橋だからこそ見過ごしやすい。
しかし、実際に歩いて銘板や構造を確認すると、どの橋にもそれぞれ違う歴史が残っています。
小森川の橋については、まだ分からないことが多く残りました。
冬にもう一度訪れ、今度は橋の全体像や細部を確認してみたいと思います。
天浜線沿線には、まだこうした目立たない古い橋が数多く残っているようです。


