2026年10月1日、天竜浜名湖鉄道の気賀駅から西気賀駅まで歩く途中で、二俣線陸橋を訪れました。

天竜浜名湖鉄道 二俣線陸橋
場所は西気賀駅の近く。
天浜線の線路が切通を通り、その上を細い道路がまたいでいます。
道路名は市道細江下村5-16号線。
橋の名称は二俣線陸橋です。
この橋で最初に目を引いたのは、その姿でした。
細い鉄骨を組み合わせ、曲線を描くように広げ、それをリベットで固定しています。
現代の橋ではあまり見かけない、とても繊細で優美なデザインです。
一方で、浜松市の資料を見ると、この橋は更新予定となっているようです。
近い将来、今の姿が見られなくなる可能性もあります。
今回は、歴史や構造にまだ分からないことを残しつつ、現在の二俣線陸橋を記録します。
スポットの概要
二俣線陸橋
二俣線陸橋は、静岡県浜松市浜名区細江町気賀にあります。
最寄り駅は天浜線の西気賀駅です。
橋は、切通を走る天浜線の線路をまたぐ跨線橋として使われています。
確認できた情報では、
- 道路名:市道細江下村5-16号線
- 橋名:二俣線陸橋
- 橋長:約17m
- 幅:約2m
となっています。

天竜浜名湖鉄道 二俣線陸橋
浜松市の資料ではRC橋に区分されています。
ただし、現地で見ると目立つのは細い鉄骨を組み合わせた構造で、なぜRC橋区分になっているのかは今回確認できませんでした。
細い鉄骨とリベットがつくる美しい姿
二俣線陸橋の最大の特徴は、やはりそのデザインです。
橋の側面を見ると、太い桁を直線的に組んだ一般的な橋とは印象がかなり違います。
細い鉄骨を何本も組み合わせ、それを外側へ広げるように曲げ、リベットで固定しています。

天竜浜名湖鉄道 二俣線陸橋
その形は、見方によっては百合の花のようにも見えます。
機能だけを優先した無骨な構造ではなく、線が細く、軽やかに見える。
それでも実際には、長い間道路を支え続けています。
こうしたデザインは、最近の橋ではあまり見かけません。
小さな跨線橋ですが、見ていて飽きない構造です。
この橋はいつ造られたのか
二俣線陸橋は、見た目からもかなり古い橋に見えます。
古い地形図を確認すると、二俣線開業前、この場所は山の斜面だったようです。
その後、二俣線開業後の地形図では、この場所に切通ができ、その上を道路が渡る形になっています。
そのため、少なくとも跨線橋が必要になったのは二俣線建設と関係していると考えられます。
一方、現在残っている橋そのものが、二俣線建設時から同じものなのかは確認できていません。
また、二俣線建設時に廃レールを利用して造られたのではないか、という話も聞きました。
現地で見ると、鉄骨断面は通常のI形鋼とは少し違って見え、レール材にも似ているように感じます。
ただし、これは現時点では未検証です。
この記事では、
「廃レールを利用した可能性があるという情報はあるが、確認できていない」
という段階にとどめます。
同じような跨線橋がほかにもある
二俣線陸橋の構造は、一見するとかなり特殊です。
ところが、天浜線沿線には同じような形の跨線橋が、少なくともほかに2か所あるようです。
もし同時期に同じ考え方で造られた橋だとすれば、二俣線建設時にこの形式がある程度共通して使われていた可能性も考えられます。
単発の珍しい橋なのか。
それとも当時の標準的な設計の一つだったのか。
このあたりは、ほかの跨線橋と比較することで見えてきそうです。
今後、ほかの同型橋も記録しながら比較していきたいと思います。
更新予定が示されている橋
二俣線陸橋について気になるのが、今後の扱いです。
浜松市の「道路橋長寿命化計画 修繕・点検リスト(令和7年3月)」では、この橋は更新予定として掲載されているようです。
さらに、令和8年度の入札関係資料には、架道橋用の橋脚建設に関する記載も確認できました。
これらを見る限り、近い将来、現在の二俣線陸橋が更新される可能性があります。
ただし、現時点では、
- 現橋がいつ撤去されるのか
- 同じ位置に新橋を造るのか
- 現橋の一部が保存されるのか
といった具体的な内容までは確認できていません。
更新が行われれば安全性や維持管理の面では必要なことだと思います。
一方で、この独特の細い鉄骨とリベットの姿が失われる可能性があると考えると、今のうちに記録しておきたい橋でもあります。
なぜ「RC橋」なのか
もう一つ気になったのが、浜松市資料上の橋種です。
二俣線陸橋は、
RC橋
として分類されています。
しかし、現地で最も目立つのは鉄骨部分です。
橋長17m、幅2mという情報と合わせても、外から見ただけでは「RC橋」という印象はあまりありません。
考えられることとしては、
- 床版部分がRCなのか
- 橋台や主要構造の扱いによる分類なのか
- 市の管理上の分類方法なのか
などがありますが、今回は確認できていません。
この部分も、構造図などが見つかれば確認したいところです。
「見た目では分からない分類」というのも、橋を調べる面白さの一つです。
切通を走る天浜線を撮る
二俣線陸橋は、天浜線の撮影場所としても面白い位置にあります。
橋の欄干が比較的低いため、橋上から切通を走る列車を見下ろすことができます。

天竜浜名湖鉄道 二俣線陸橋 切通を走る列車
線路は両側を斜面に挟まれているので、列車が切通の中を進んでくる構図になります。
駅や田園を走る天浜線とは違い、
「山を切り開いた線路を走る列車」
という雰囲気があります。
天浜線沿線として見た魅力
この橋は、大きな鉄道橋でも、有名な観光施設でもありません。
細い市道が、天浜線の切通をまたいでいるだけの小さな橋です。
それでも現地で見ると、とても印象に残ります。
理由は、今の橋にはあまり見られない繊細な構造です。
そして、その橋の下には二俣線建設時に掘られた切通があります。
道路は昔からこの山を越えていた可能性があり、そこへ後から鉄道が通されたことで、道をつなぐために橋が必要になった。
そう考えると、この小さな跨線橋も、地域の道と鉄道が交差した歴史そのものに見えてきます。
歩いて感じたこと
今回この橋を見て、まず感じたのは「きれいな橋だな」ということでした。
橋長17m。
幅2m。
決して大きな橋ではありません。
それでも、細い鉄骨を曲げ、リベットで一つずつ組んだ形には、最近の橋にはない独特の美しさがあります。
そして調べていくと、更新予定が示されている。
そうなると、見え方が少し変わります。
今まで何十年もそこにあり、地元の人にとっては普通の道だった橋。
しかし、数年後にはまったく違う姿になっている可能性があります。
歴史的価値がどこまで評価される橋なのかは分かりません。
それでも、少なくとも現在の姿は、今のうちにきちんと記録しておきたいと思いました。
散策時の注意点
二俣線陸橋は現在も道路として使われています。
道幅は約2mと狭いため、撮影のために長時間橋上へ留まるのは避けたいところです。
- 車両や歩行者の通行を優先する
- 橋上で三脚などを大きく広げない
- 欄干から身を乗り出さない
- 線路内や鉄道用地へ入らない
- 橋の鉄骨や構造物へ登らない
- 周辺の住宅や寺院に配慮する
といった点に注意します。
列車撮影では、橋の上から安全に見下ろせる範囲で撮影し、通行の邪魔にならないようにします。
まとめ
西気賀駅近くにある二俣線陸橋。
市道細江下村5-16号線が、天浜線の切通をまたぐ小さな跨線橋です。
細い鉄骨を曲線的に組み、リベットで固定した姿は、とても優美です。
建設年は現時点では確認できていません。
二俣線建設時に廃レールを利用して造られた可能性も聞きますが、こちらも未検証です。
一方で、浜松市の資料では更新予定が示されており、将来的に今の橋が姿を消す可能性があります。
また、資料上はRC橋に分類されているなど、まだ分からない点も多く残っています。
小さな橋ですが、調べるほど疑問が増える橋でもあります。
そして何より、今の橋にはあまり見られない美しい構造を持っています。
同じような跨線橋が天浜線沿線にほかにも残っているようなので、今後比較しながら、この形式の橋についてもう少し調べていきたいと思います。


